最新の内視鏡装置の導入により、診断の質を高めます

拡大内視鏡について

従来の胃内視鏡、大腸内視鏡の装置をより精密な内視鏡装置として拡大内視鏡を2016年度より当院で採用いたしました。

拡大内視鏡は、通常観察で発見した病変をその場で拡大観察(最大100倍)することで、通常観察では確認できない微細な粘膜模様や微小血管の観察を可能とし、内視鏡的な質的診断(腫瘍鑑別)及び量的診断(深達度診断、範囲診断)をサポートする装置であります。従来の内視鏡を用いた検査では、良性と悪性の鑑別が難しかったものを拡大観察することで、より確実に診断することが可能になりました。

当院にて導入している最新の内視鏡スコープではスコープ先端部のアクチュエーターを動作させることで対物レンズのフォーカスレンズが移動し、中遠景の観察に適した通常観察モードと近点観察に適した近接拡大モードの二つのフォーカスを一瞬で切り替えることができます。中遠景で観察部位全体を捉える際には通常観察を行い、近接観察の際に近接拡大に切り替えることによって、細かい粘膜や血管パターンを観察できます。通常内視鏡検査にて少しでも異変があれば、拡大機能で微細粘膜模様や血管を観察し、病変の早期発見と診断が行えます。

通常観察モードと近接拡大モードのイメージ
スクリーンショット 2016-06-23 9.24.35※出典:ORYMPUS社ホームページより

現在、日本の内視鏡の機器開発、技術、診断や治療は群を抜いて世界に誇れるものです。
これまで、日本の内視鏡装置への研究は早期胃がんの診断の学問が主流でした。90年代より大腸がんの発見や、ここ数年は内視鏡装置が飛躍的に進歩し、拡大内視鏡の診断やNBI(Narrow Band Imaging)機能の研究が精力的にされています。

NBI機能について

NBIとは、内視鏡観察光の分光特性を変更することにより粘膜微細模様の強調表示を行う光学的画像強調技術のことで、染色液を使用せずにスイッチ一つで観察光を変更し、利用ができます。拡大内視鏡にNBIを併用することによりエビデンスの高い診断方法を利用することができ、患者様に貢献していく装置であると思います。

このNBI機能は日本初の粘膜表面の微細な血管を認識する機能です。がんがあると、この微細な血管パターンが変化します。従来の内視鏡検査時にはわかりにくかった腫瘍発見の診断に有用です。拡大内視鏡は、このNBI機能により内視鏡時に病変を感知すると瞬時に画像の倍率を拡大し、小さながんの初期病変でも詳細に観察が可能な内視鏡の診断と治療を飛躍的に向上させる内視鏡装置です。

この拡大内視鏡はNBIを併用することにより、食道がん、胃がん、大腸がんに対して術前診断に今後も多く利用され、より正確に進行度が判断され、より体に負担をかけない根治的治療に貢献していくことは間違いないと思います。早期食道がん、早期胃がん、早期大腸がんの質的診断、深達度診断に今後も拡大内視鏡診断は非常に有用な手段で今後患者様にとって役立つ診断方法であると考えています。

NBI(Narrow Band Imaging)機能
~狭帯域光観察機能の発展~

拡大内視鏡により、血管構造を観察し、がんの進行度を判定し、早期がんの内視鏡診断に役立ってきている。特に早期がんと思われる内視鏡的粘膜下層剥離術の術前精査目的に利用され、がんの深達度、すなわちがんの進み具合を手術前に確実に診断することにより、開腹手術による胃切除術を施行しないでよいので有用な方法であると思われます。
患者様にとっては開腹せずに通常の内視鏡挿入にて根治的治療が施行できるメリットは大変大きなものと考えます。

拡大内視鏡は陥凹型がんといわれる早期に発育する危険ながんや、大腸の壁を這うように発育し、早期発見が難しいがんの診断に有用です。また、内視鏡では切除する必要のある腺腫などの腫瘍を的確に診断することが可能です。さらには、がんの内視鏡治療の適応を診断し、治療後の再発や出血の予防などにも有用です。

今後も内視鏡装置をはじめ、あらゆる医療機器の進歩がありますが、拡大内視鏡の導入にて、より地域医療への貢献につながるものと確信しております。ご質問などがございましたら、当院の医師、看護師にご相談ください。

内視鏡の件数

治療・手術について

オペ室当院は、救急指定、救急救命指導医派遣病院として、いつ何時起こるかわからない病気やけがに24時間体制で対応しています。中央手術室は定期的に行われる環境測定診断によって保たれたクリーンルーム。ここで、内視鏡手術など高度で専門的な手術が年間約150例行われています。

医療機能評価

ninteisyo

医療機能評価認定病院とは、医療機関が第三者から病院機能の評価を受けることにより、問題点を把握し、改善に向けて努力することで医療の質を向上させるために行うものです。当院はその評価を受け、平成11年3月に川崎市初の認定病院として認定証が交付されました。私たちはこの評価にとどまることなく、より質の高い医療を提供できるよう、地域医療に貢献します